五人の男女が様々なことを独白していく。共通しているのは記憶を語っていること。無くなってしまった景色や、いなくなってしまった人たちのことを思いながら独白は続く。そして五人の言葉は重なったりずれたりしながら、思いは語られていく。
五人がそれぞれ独白しながら進んでいく戯曲です。それぞれが変わっていく景色だったり、昔あった人のことを語ったりします。全体を通して一つの詩を読んでいるような気持になりました。この作品の中では色々な言葉が出てきますが、そのどれもが何とも言えない寂しい雰囲気を持っています。Bの「私は感傷家なので、記憶を食い物に生きていけます」という言葉など、思わずグッと胸に迫っていくセリフもあります。他にもDとEの語る昔の記憶の中の景色にもノスタルジックを感じてしまいました。とても短い戯曲ですが、とても色々なことを考えさせられる素晴らしい作品です。