都内に住む会社員の舞子は、認知症にかかった母の様子を見舞うために地元に帰っていた。舞子の母はかつて衰退する地元を何とかしようと活動を続けていた。しかしその計画は失敗し、舞子は逃げるように地元から去っていた。複雑な思いを抱えながらも、父と同僚の味希を交えて話は進んでいく。
認知症になった母を訪ねる娘の物語です。衰退していく地方をどうにかしようと奮闘した母の姿と、そのことによって地元に住めなくなった舞子の姿。そして、認知症になってしまった母親を見る父。そして、舞子の同僚でアニメの聖地巡りをしている味希とで物語は進みます。舞子の母の叶わなかった夢と、衰退していく地方というのが重なり、とても切ない気持ちになりました。私の地元もここまでではありませんが、過疎化が進んでいるのでなおさら身につまされます。舞子の母はそれをどうにかしようとして失敗します。しかし、アニメの聖地によって人が来るようになるというのも皮肉が聞いているような気がしました。
作中では百年後の世界どころか十年後すらわからないというセリフがあります。それはもっともだと思いました。先の分からない未来。ですが少しでも、未来のために自分にできることを少しでもしていきたいと思いました。