芸術の巨匠蛇ノ目梯。彼の最後の弟子は十三人いた。彼らは恩師の十三回忌に合わせて、再び集結した。そこで弟子のひとりである鹿伏はこれまで隠していた恩師の遺言を読み上げる。そこには遺産の四億円を皆に託すと書かれてあった。鹿伏はその大金をどのようにして使うか、相談を持ち掛けた。そして、美術館を建設しようという話になったのだが、物語はさらにカオスを増していく。
癖の強い芸術家の弟子であるため、登場人物全員が強烈な個性を持っています。中には犯罪行為をする人もいます。もうなんでもありの芸術家たちが十三人もそろっているので、非常にカオスなやり取りが繰り広げられます。内容はループしていて、進んだと思えばもとに戻り、戻ったかと思えば話が大きく進みます。まるでジェットコースターに乗っているかのような展開に、読んでいて翻弄され続けます。会話の内容も非常に卑猥で下品ですが、破天荒な作風と相まって私はとても好きです。とにかくアクセル全開で進むので、疑問や考察をしている暇はありません。 結局カオスを極めたまま物語は終わります。最後まで読んで、どうしても気になる点がありました。この物語の世界は果たして現実なのか空想なのか。どちらにもとれると思いますので、ぜひ読んで考察をしてみてください。
柿喰う客代表で、脚本、演出を手掛ける。他とは一線を画した独特な感性で書かれる作品は多くの人を魅了します。 「こどもと観る演劇プロジェクト」や「高校生のための演劇プロジェクト」など、若い年代への演劇舞台振興にも携わり、その人気は広がりつつけています。 最近では、『黒子のバスケ』、『文豪ストレイドッグス』『ハイキュー!!』など漫画やアニメ原作作品の2.5次元舞台の脚本や演出を手がけ女性を中心に大きな賑わいをみせています。