尼崎の市営団地に住む夫婦、井上勉と晴子。 ミシンで内職をする晴子から頼まれ、お使いに出た勉が帰ると妻は消えていた。 同日、近所のコンビニに女の強盗が入ったという。 晴子が消えてから一週間、会社にも行かずに過ごす勉の元に、かつて団地の隣に住んでいた鈴子が訪れる。 さらに向かいの団地棟に住む林の妻がやってきて…。
団地で生まれ、同じ団地の中で結婚した晴子。 「何の景色が変わったんやろか。アッチとコッチ、そっくりな建物の、同じ景色をただ逆から見るだけやん。」 晴子が作業するミシン台から見えるのは向かいの林家の窓。 閉鎖的な日常の中で晴子は何を考え、何を見ていたのでしょうか。 呼応するように瞬き返していた、林家の書斎のライトと晴子のミシンのライト。 蛍を見に行こうと言った晴子に、こんな汚いところで蛍なんているわけがない、と返した勉。 振り返ると悲しく思える冒頭の会話です。