離縁された妻が後妻を仇討ちにいくという習俗、『うわなり打ち』。 うわなり打ちを行った吉良は、この時の傷がきっかけで角が生えてくる。 鬼となった吉良は村を去り山へ行くが、20年後、山に迷い込んだ村人・耕作と子をなすことになる。 鬼を恐れる村人たちや、かつての吉良の友人、鬼退治を頼まれた猟師、そして鬼を見せ物にしようとする男たち…。鬼と人の物語。
村を恋しく思いながらも、山で楽しく暮らす吉良と妖怪たち。彼らの優しさや愛情が人とさほど変わらないものであることが描かれています。 赤子を抱いて村へ下りてきた吉良を見て誤解し、「うらなり打ち」を恐れる耕作の後妻や村人たち。 そしてその誤解につけこみ、吉良やその赤子を狙う鉄見と勘平。 何もわからない吉良の赤子を浚い、あらゆる悪を教え込んで鬼に仕立て、見世物小屋へ売ろうというその企てはあまりにも邪悪で、愛情深い鬼や妖怪たちとは対照的な描かれ方です。 鬼となった吉良や妖怪たちへの共感を描くことで、人とは何かを考えさせる物語です。