客の少ない地方都市のジャズバーを舞台に、店主・武とその妻・裕子、裕子の甥である和弘、そしてジャズバーのピアニスト・歩が登場する。 母の死と父の再婚による精神的な影響から、ピアノの演奏ができなくなった音大生・和弘は、武からの連絡でジャズバーにやって来た。ジャズバーのピアニスト・歩が店を辞めてしまったため、急遽連絡したのだ。 裕子は歩がレジの金を抜いたことを、武が嘘をついてまでかばったことが気に入らず、家を出ていた。 裕子は戻ってきてくれるのか、そして和弘はまたピアノを演奏できるのだろうか。
母の死と父の再婚に起因する和弘の悩みの解決が物語の大きなテーマとなっていますが、さらに、店のレジからお金を抜いてしまった歩や、それをかばって嘘をついた武が気に入らず家出した裕子…といった問題も加わります。 シリアスな展開のはずですが、妻への愛ゆえに狼狽えるポンコツ店主・武の存在も大きく、全体的にはコミカルな雰囲気で、最終的には登場人物たちの当面の問題も解決し、爽やかな読後感です。 劇中では、既存のジャズや童謡、ポピュラーソングなどが効果的に使用されており、読みながら、音が聞こえてくるようでした。