『ごんぎつね』で知られる童話作家・夭逝した新美南吉を描く。昭和13年、新美正八(南吉)は教師の仕事を紹介してもらう。正八を見守る父と継母、幼馴染み・ちゑとの淡い恋愛や、自分を慕う女生徒・初枝らとの関わりの中で、童話作家としての未来も少しずつひらかれるが、戦争や病、死の気配は徐々に強まり…。
物語は終始、正八の書斎兼自室である「離れ」を舞台として描かれます。正八の元を訪れる明るい両親や友人たちがいなくなると、淋しさを感じるような印象です。 この、どこか淋しい印象は正八自身にも当てはまります。幼き頃の実母の死が落とした影は、慕った相手の死が増えるにつれ色濃くなっていくようでした。 そして自らもまた逃れらない死の病のなかで、彼は何を残せたのか。生命力に満ちた両親らとどこか浮世離れした正八の明暗がどこまでも対照的でした。
コンテンポラリー・ダンスのダンサーでありながら、劇作家としても活躍。『見上る魚と目が合うか?』で第18回日本劇作家協会新人戯曲賞を受賞するなど幅広い活躍を見せている。